【若手】No.18 私の作業療法士観

私の作業療法士観 私が作業療法士を目指すきっかけになったのは、心理学・哲学を含め、「精神」という分野に興味があったことでした。

 高校は看護師養成校へ行っており、作業療法士になりたいと初めて思ったのが、高校3年生の夏であった為、普通に考えると、遅すぎる時期でしたが、作業療法士という職業について知れば知る程興味深く、作業療法士という職業は医療職の中でも、その人その人の個性を十分に引き出し、生かせる仕事であることなど、魅力的に感じる部分が多くあり、進路変更を決意しました。
 看護師という職業は、一般的にイメージがよく、誰にでも理解されやすい職業である一方、「作業療法士」という職業は、一般的にあまり知られておらず、どのような仕事をどのような場所で行うのか、どのくらい現場での需要があるのかなど、認知度が低く、養成校に入学するまでは、なってみたいと強く思う反面、周りからの疑問の声も多く、不安なこともありました。

 しかし実際、大学へ入学すると、授業そのものが魅力的で、何よりも対象者を主体とした評価や治療法を学べることに、喜びを感じていきました。また、概論や歴史など抽象的な講義から、実際現場で必要とされる知識や技術を学ぶ講義が多くなっていくにつれ、作業療法士という職業に対する、難しさと楽しさについて考えるようになりました。
 授業内容としては、基本的な英語や第二外国語など一般教養、医療従事者として基礎となってくる解剖学や内科学・心理学などの基本科目、身体障害・精神障害作業療法学や基礎作業学など作業療法士を目指す者としての専門的知識を教わるものと、主に三様であったように思います。
 在学中は勉強できることを当たり前のように感じておりましたが、今になって考えてみると、こんなに沢山の授業を受けられる機会は、この4年間だけしかなく、とても貴重な時間であったのだと気付きました。
 また、自分の知りたいと思った知識や技術、原理や法則を、専門科の先生方からすぐに教えていだだくことができるという、今から思えば本当に有難い環境であり、もっともっと学校という環境に感謝し、図書などを含めた資源を有効に活用すべきであったと痛感しております。

 作業療法士として就職後は、病院勤務であれ、施設勤務であれ、様々な障害を持った対象者を担当させて頂き、毎日毎日が学生時代以上に勉強です。その為、現在は、「知りたい。学びたい。」と思ったら、興味のある勉強会に申し込み、足を運ぶといった形で、勉強会や講習を受講しています。
 在学中に、もっとしておけばよかったと思うことは、先生や友人、実習でお世話になったスーパーバイザーに紹介して頂いた本を読むことです。対象者の方には、今まで生きてこられた人生という、その方だけの「ストーリー」があります。本は他者を理解する大きな助けの一つとなると現場に出て気付きました。また、学んだ知識や技術の引出しが多ければ多いほど、対象者に、より適切なアプローチを行えるということに気が付きました。
 専門的な知識や技術はもちろんのこと、作業療法士という職業は、対象者を理解し援助したいと思うことから、すべてが始まる職業ではないかと感じております。

 作業療法士という職業に就く前は、不安になったり、悩んだり、時には挫折しそうになったこともありましたが、現在は毎日充実した日々を過ごすことができており、作業療法士になって本当によかったなと、両親を始めとするお世話になった先生や沢山の友人に、心から感謝しております。

(2007年3月,新潟県内の養成施設を卒業)

同じカテゴリーの記事:若手OTRからのメッセージ

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wpm/essay/post/101