足並みそろえてo(^-^)o

イメージ_カメ すてっぷななでは,9月と3月に利用者・家族・職員で面談を実施しています.個々の目標を確認し,半年の作業を振り返りながら「少しずつ目標に近付いてるね!」と言える場面にしたいのです.でも現実は… 本人の希望と家族の不安,支援者の思いが一直線になるためには相当のすり合わせが必要で,目標の設定自体がとても難しいのです.

 本人の希望は受傷・発症前の生活が大きく影響し,障害や症状よりも強敵だったりすることもあります.例えば,元々ゆる~い生活をしていた人に,規則正しい生活を…と言ってもどうにもなりません.越えられない壁?と私が凹むことも(´□`*)

 家族は受傷・発症当時の「怖かった」体験から,「生きててくれるだけで良い」という思いがあり,新しいことにチャレンジして本人が傷ついたらかわいそうだ…と不安な気持ちをぶつけてきます.

 そして支援者は,本人の希望と能力から将来の設計図を描いていきます.できるだけたくさんの可能性を想定しHappyになれる選択肢を探っていく,ちょっとした冒険です.

 面談を重ねるごとに,三者の思いが一直線に近付いていきます(難航する場合もありますが…).こうなれば,多少の困難があっても,めげることなく目標に向かって歩き続けることができます.足並みそろえて動ける日を目指し,頑張っていこうと思います.

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一泊旅行は伊豆でした

イメージ_茶摘み 旅行当日,大雨洪水警報発令中.私は大渋滞に巻き込まれ遅刻しました.とても気まずい状況に….でも私の到着に利用者は気付かず,ボランティアさんと楽しそうにしています.和やかで良い雰囲気!初対面の人とも,積極的に交流することができていました.
 今回は普段来ていただいているボランティアさんのほかに,高次脳の余暇支援をしていた方と,横浜市内の病院で働いているOTの方に協力していただきました.旅行など普段と異なる状況では,利用者の行動で予測のつかない部分が多分にあり,職員だけでは対応が難しいので,ボランティアさんが不可欠です.しかも今回は,高次脳機能障害の特性を理解している人を確保できたので,最大の安心を得ての出発ができました.

 旅行の行き先については,5月から利用者が話合いを進めていました.静岡・山梨・千葉・長野プランの4つが候補として挙がっていましたが,食べ物の魅力から静岡に決定したようです.

 初日はバナナワニ園やシャボテン公園で動物を見て喜び,次の日は茶摘みやビールのビン詰め体験でぐったり(茶摘みチームは暑さで,ビールチームは酔いで…)して帰ってきました.

 今回の旅行では,復職が決まった利用者からあいさつをしてもらう場面がありました.意識障害が回復し「これからどうなるんだろう?」という不安でいっぱいだった時期にすてっぷななで仲間と出会い,心の支えになったこと.支援者との関わりで,復職の可能性を見出し,そこまでの道のりが具体的にイメージできて心強かったことなど,自分の言葉で,話してくれました.これから社会への第一歩を踏み出す仲間たちに,とても力強いメッセージを残してくれました.途中,感極まって涙も.私も一緒にもらい泣きをしてしまいました.彼女の話を聞き,すてっぷななを立ち上げて良かったな,と改めて感じた時間でした.

 たくさん笑って,たくさん泣いて,たくさん食べた2日間でした.

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どこに行くの…?!

 前回の「自転車」で少し書いたのですが,高次脳機能障害の方の無断外出ってわりと頻回に起こります.病院でも患者さんが離棟や離院をしてドキっとした経験があるのではないでしょうか?

 無断外出のときの対応では,「本人がどうしてその行動をしたのか」という気持ちを確認することと,場合によっては行動を修正してもらうために「気分や目先を変えること」が大切になってきます.

 Aさんは「会社に行く」と言って出て行こうとするので,私も同行しました.途中の公園で私が「ブランコに乗っても良いですか?」と聞くと「ちょっとなら」との返答.結局20分くらい付き合ってもらいました.
 すると「飽きたから帰りましょう」と本人が提案してくれたのです.ラッキー,言い争いではなく,本人の意思に基づいて無事帰ることができました.

 出て行こうとしている人や出歩いている最中に本人を見つけた場合,「ダメです」や「帰りましょう」は通用しません.押し問答になり,出かける目的に「固執」してしまいます.こんなときは,気分や目先を変えてしまうのも,支援方法のひとつですね.

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地下鉄が止まった…

 先日,利用者の通所時間帯に市営地下鉄ブルーラインが止まってしまいました.
 第一報の連絡は非常勤職員からで,状況を聞くとしばらく動きそうもないとのこと.この時点では交通局のホームページ情報も更新されておらず,私たちとしても予測ができません.利用者をどうやって誘導しようかな…と考えていました.

 そのあと続々と利用者から電話が入り「電車が止まっているので遅刻します」「今,どこの駅にいます」と報告できていました.すばらしい! 高次脳機能障害って一般的に「不測の事態が苦手」「臨機応変な行動が難しい」といわれているけれど,社会人として行動することができていました.新しい一面をまた発見ヾ(*´∀`*)ノ

 みんな30分遅れで無事到着.「電車が動かなかったらどうするつもりだった?」と聞くと,「他線を使ってセンター南駅から徒歩」,「バス」など別の手段も検討したそうです.誰一人として「休む」という選択肢がなかったらしい…大人です.私ならサボって遊びまわっていたかもしれません.

 非常事態から,利用者の想像以上の能力を知ることのできた,嬉しい一日でした.

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自転車

イメージ_自転車 すてっぷななの玄関には,赤い自転車が置いてあります.開所したときに頂いたものなのですが…座面が高く足が接地できないので,毎回ドキドキしながらの乗車.先日も電柱と標識の間に挟まりました.

 でも,これが大活躍しています.銀行や買い物に行く時はもちろん,あるときは緊急車両に変身.できれば変身させたくないのですが,高次脳機能障害の方,道に迷ったり,無断で外出してしまうなど,行方不明が起こりやすいのです.

 利用者が外へ出てしまったとき,こっそりこの自転車で追跡し,見守りをします.「困ったときにはどうするのか」「何が目的で外出したのか」など,注意深く観察し,評価・支援を考えていきます.
 その場で本人に声をかけてしまうのは楽だけど,その行動の問題解決方法までを見届けたい!
 施設の中では見ることのできない,意外な能力に驚かされることも多いのです.

 私たちって,リスク管理や時間を優先しがちで,つい先回りして支援していることが多いような気がします.でも,それは彼らの可能性を潰してしまっていることもある,ということを意識したいですね.

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夏休み

 すてっぷななの夏休みは7月末~8月初旬.利用者との話合いで「お盆はどこに行っても込んでいるから,違う時期が良い」「こどもの夏休みと合わせてほしい」などの意見があり,この時期になりました.

 夏休み明け最初の活動日.案の定…日課や作業,役割分担など,今まで積み上げてきたものが,たったの10日でリセットされていました.休み前の状態に戻すのに何日ぐらいかかるのかな?

 手続き記憶は残りやすいので,作業はもう少し大丈夫だと思っていたけど,大誤算でした.クッキー作りでは,手順書を出さずに作業を開始し,道具も材料も間違える…進捗状況の報告・相談を忘れるなど,通常できていたことがうまく繋がらない様子.でも,宅急便の集荷依頼の電話はとても上手にできていました.このあたりの「ムラ」が高次脳機能障害の特徴のひとつなんですよね.

 今回は,休み明けに「はじめまして」と自己紹介されなかっただけ良し,としましょう.

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施設紹介

イメージ_看板 クラブハウスすてっぷななは,2004年4月に首都圏初の高次脳機能障害者に特化した地域作業所として開設し,2010年4月からはNPO法人として地域活動支援センターと自立生活アシスタント事業の2事業を始めました.

 地域活動支援センターの定員は15名.犬用クッキーを作ったり,宅急便の取次をしています.
 福祉的就労としての活動が目的ではなく,社会性や対人面,生活の中で代償手段を使えるようになる,など病院から地域社会へ戻る際に必要と思われる様々なことにアプローチをしています.病院の中では「やってもらう」ことに慣れてしまっている人たちも,ここでは「自分から周囲に働きかける」ことをしなければいけません.
 レクリエーションの行き先なども本人たち同士で話し合って決めるのですが,お互いが自己主張もしつつ,他人の発言を尊重することも大切なポイントです.昨年は人の意見を聞かずに(もしかしたら聞けずに??)話合いを進め,結局は雪の降っている栃木の牧場へ行くことになってしまいました.話合いの時点で「冬の栃木は寒くて凍るよ」と発言していた利用者がいたのにな….
 路面も凍結し,結局はアルパカも見れず,インパクトのある旅行でしたが,記憶障害の方々はそんなこともすっかり忘れていました.今年はどこに行くことになるのでしょうか?

 自立生活アシスタント事業は,横浜市単独事業なので初めて聞く方も多いと思います.私も転職してから知りました.今までは知的・精神障害には実施していたのですが,2010年度より発達障害・高次脳機能障害にも事業が拡大しました.嬉しい!
 単身者や障害者世帯などが,地域で自立した生活が送れるよう,アドバイスやちょっとした支援を行っています.実際の生活場面で,障害像の評価と環境調整,本人に使いやすいツールの工夫などの支援をしています.この事業については,まだ本格化していないので,どこかの機会に報告できればな,と思います.

 高次脳機能障害はある日突然,何の断りもなくやってきます.症状も見えにくく,何がなんだかわからない.でも,当事者は近い将来,地域に戻って生活しなければなりません.そんなときに,OTがその先の生活をイメージすることができたら…みんながハッピーになれる支援が実現するかもしれませんね.

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開所記念日

 2010年7月3日,すてっぷなな7回目の開所記念日でした.年度当初の計画では7月7日に7周年記念のイベントを!と,事業検討会議で提案していたのですが,式典として中途半端な時期,と言われ却下でした….
 でも,私たちにとって,この日はとても大切な出発地点.毎年欠かさず当時の新聞記事など資料を見ることにしています.多くの人に望まれ,応援されながら立ち上げた施設.開所式の新聞記事を見ると,そこには本人・家族,そして社会が求めている「高次脳機能障害への理解と支援」について書かれています.
 あれから7年,彼らを取り巻く環境は大きく変化しました(詳細については次回以降にお伝えしますね).

 すてっぷななは「何のために」「誰のために」どんな活動をしなければならないのか,改めて考えた一日でした.
 普段は忙しさにまぎれ,場当たり的なケース対応をしてしまったり,経営優先で利用調整をしてしまったり…,開設当初の純粋な気持ちはどこかへ行ってしまっていることに気づきました.
 今いる利用者と,応援してくれているすべての人に「この施設があって良かった!」と感じていただけるような場所を,日々作り上げていきたいと思っています.めげたり,怠けていたら,お声かけをお願いします(^O^)

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