Tag: 無断外出
前回の「自転車」で少し書いたのですが,高次脳機能障害の方の無断外出ってわりと頻回に起こります.病院でも患者さんが離棟や離院をしてドキっとした経験があるのではないでしょうか?
無断外出のときの対応では,「本人がどうしてその行動をしたのか」という気持ちを確認することと,場合によっては行動を修正してもらうために「気分や目先を変えること」が大切になってきます.
Aさんは「会社に行く」と言って出て行こうとするので,私も同行しました.途中の公園で私が「ブランコに乗っても良いですか?」と聞くと「ちょっとなら」との返答.結局20分くらい付き合ってもらいました.
すると「飽きたから帰りましょう」と本人が提案してくれたのです.ラッキー,言い争いではなく,本人の意思に基づいて無事帰ることができました.
出て行こうとしている人や出歩いている最中に本人を見つけた場合,「ダメです」や「帰りましょう」は通用しません.押し問答になり,出かける目的に「固執」してしまいます.こんなときは,気分や目先を変えてしまうのも,支援方法のひとつですね.
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すてっぷななの玄関には,赤い自転車が置いてあります.開所したときに頂いたものなのですが…座面が高く足が接地できないので,毎回ドキドキしながらの乗車.先日も電柱と標識の間に挟まりました.
でも,これが大活躍しています.銀行や買い物に行く時はもちろん,あるときは緊急車両に変身.できれば変身させたくないのですが,高次脳機能障害の方,道に迷ったり,無断で外出してしまうなど,行方不明が起こりやすいのです.
利用者が外へ出てしまったとき,こっそりこの自転車で追跡し,見守りをします.「困ったときにはどうするのか」「何が目的で外出したのか」など,注意深く観察し,評価・支援を考えていきます.
その場で本人に声をかけてしまうのは楽だけど,その行動の問題解決方法までを見届けたい!
施設の中では見ることのできない,意外な能力に驚かされることも多いのです.
私たちって,リスク管理や時間を優先しがちで,つい先回りして支援していることが多いような気がします.でも,それは彼らの可能性を潰してしまっていることもある,ということを意識したいですね.
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