痙攣発作

イメージ_カブトムシ 脳損傷の後遺症に「症候性てんかん」があります.脳波に発作波が見られても,痙攣発作を起こさない場合もありますが,大多数の人は抗てんかん薬の服用をしています.この薬は血中濃度を維持しなければならず,みんな飲み忘れのないよう気をつけて生活しています.でも,体調や疲労,睡眠不足などさまざまな要因で,痙攣発作を起こしやすい人もいます.

 先日,カブトムシの幼虫を納品に行きました.利用者に経路を調べてもらい,電車とバスを使って移動することになりました.電車やバスの乗り継ぎも予定通り.みんなで「今日の経路は完璧だね」と喜んでいた矢先,異変が起こりました.利用者のひとりが,痙攣発作を起こしたのです.でも,間もなく目的の停留所に到着してしまいます.
 小発作(欠神発作)なら,ほんの一瞬で治まるので心配はないのですが,今回は大発作(強直間代発作)でした.呼吸状態と周囲の安全確認をし,とりあえず座席から落ちないよう対応しながら,バスの運転手さんに報告.「救急車呼びますか?」と聞かれました.でも,重積発作ではない限り,救急車は必要ありません.「1~2分で治まるので,少し時間をください」と伝えたものの…近くにいた乗客が心配して,本人に声をかけたり,身体をさすったりしてくれます.これが誘因となり発作は長引くばかりでした.周囲の人の厚意に応えつつ,「静かに見守ってください」と伝えるのは難しいな…と改めて感じた場面でした.

 病院では,すぐ対応してもらうことができますが,退院後は病院以外で過ごす時間が圧倒的に長くなります.でも発作はいつでも・どこでも起こる可能性があります.もしひとりのときに発作が起きたら,入浴中だったら…など,さまざまな場面を想定し,対応策を講じなければいけません.外出するときはけいれん時の対応や連絡先を記入したカードを持ち歩く,入浴は誰かがいる時間帯にするなどの工夫が必要です.でも,その前に「定期的な服薬」を習慣づけるよう,早期からの支援が大切ですね.

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