149号:NPO法人 脳外傷友の会 ナナ

当事者団体の活動を知る

 地域リハビリテーション部では「関係職種・機関・組織との連携や神奈川県民との連携により地域リハビリテーションの普及・推進を図る」目的として、障がい者(当事者)団体の活動の広報をおこなってきました。
 昨年度お伝えすることができなかった内容を掲載させていただきます。

NPO法人 脳外傷友の会 ナナ : 必要なときに必要な支援を

149号:NPO法人 脳外傷友の会 ナナ日時:平成22年11月25日
場所:男女共同参画センター
取材担当者:井上・田中
取材対象:大塚 由美子 氏

 脳外傷(児)者とその家族の悩み、不安に対し、交流と情報交換を通じ、支え合うことで家族や社会の問題解決の糸口をつかむべく立ち上がり結成された脳外傷友の会。
 会設立当初より携わっている脳外傷友の会 ナナ理事長である大塚由美子氏にお話を伺いました。

会の設立

 1988年、大塚氏のご子息が交通事故に遭い、急性期を経て神奈川リハビリテーション病院でリハビリの日々が始まりました。当時、主治医であった医師にTBI患者の家族会の設立を勧められ、同時期に出会った同じ境遇のご家族(4家族)、医師、ワーカー、心理士を交えてサポートナナを立ち上げました。その後、アンケート調査などを通して、参加家族も増え、1996年の準備会が発足しました。2000年、日本脳外傷友の会設立に伴う経緯の中で、神奈川県における脳外傷友の会ナナが発足、2003年には脳外傷友の会として日本で初めてNPO法人設立しています。

活動目的

 会員相互の交流と情報交換を通じ、ともに支えあうことで家族や社会での問題解決の道を探り、当事者の元気を支え、社会参加への意欲を引き出しています。また、高次脳機能障害に悩む当事者および家族の社会的不利を改善するために、社会に向けた情報発信、啓発を行うよう活動しています。

様々な取り組み

 神奈川県内では、地域ごとに会員が集まり、相互の親睦・交流・ネットワーク作りを行い、食事会、カラオケなどを行っています。高次脳機能障害支援モデルの一事業として神奈川リハビリテーション病院内に協働事業室を開設し、家族が主体となって当事者、家族の相談に応じています。また、当事者自身が活動する場であり、それを支えるボランティア育成を行い、広報・啓発活動として定期的に会報誌を発行、リーフレットなどを作成し、配布しています。
 また、全国的に家族会の必要性を感じて働きかけて約10年目が経過し、青森県を除く各都道府県に家族会が設立しています。同時に厚生労働省にも働きかけ、高次脳機能障害モデル事業を5年展開し、現在、都道府県すべてに拠点を置いて高次脳機能障害支援普及事業として3年目を迎えているなど国に対しての働きかけも継続されています。

今後について

 障害を抱えても住みなれた場所で生活が継続できるような支援を提供していきたい
 現在、障害者の多くは支援のあるところに転居されていることが多く、支援の地域格差がある状態である。横浜市で始まっている障害者自立生活アシスタント派遣事業(障害者が地域生活を継続するために、専門的知識と経験を有する「自立生活アシスタント」を派遣して、具体的な生活の場面での助言やコミュニケーション支援を行う)のような生活版ジョブコーチやヘルパーに対して見守り支援の方法を伝えること、さらにグループホームの運営などにも携わっていきたいと考えているそうです。

インタビューを通じて

 脳外傷友の会として「ナナの会」を一度は耳にしたことがある方も多いだろう。今回、会の代表である大塚氏にお会いし、活動のほんの一部を紹介させていただいた。全国でも大規模な当事者の会でありながらも、“必要な時に必要な支援を”と地域性や形態、状況別の会を設け、100人いれば100通りのニーズに応えていこうと日々模索し、活動され、実践していることに脱帽であった。作業療法士として当事者やその家族に地域生活に必要で有益な情報を提供できるように様々な資源を周知していく必要性を感じた。

(文責:地域リハビリテーション部 井上・田中 )

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