146号:脳卒中者友の会・泉睦会

 地域リハ推進班では「関係職種・機関・組織との連携や神奈川県民との連携により地域リハビリテーションの普及・推進を図る」目的として、障がい者(当事者)団体の活動の広報を昨年度よりおこなってきました。
 今年度も引き続き障がい者(当事者)団体の活動を広報していきます。

脳卒中者友の会・泉睦会団体名:脳卒中者友の会・泉睦会
取材した活動:第15回泉睦会・泉区中途障害者文化祭
日時:平成22年9月9日(木)13時00分~15時00分
場所:横浜市泉区市役所1階 区民ホール

【取材の概要】
 昨年の11月号(県士会ニュースNo.140)で取材をさせていただいた「脳卒中者友の会・泉睦会(せんぼくかい)」主催の第15回泉睦会・泉区中途障害者文化祭が、9月6日(月)~10日(金)に行われました。今回、地域リハビリテーション部員2名が文化祭に参加し、出展作品の鑑賞および、会の活動状況や作業療法士との連携の可能性について石川敏一会長よりお話を伺いました。

脳卒中者友の会・泉睦会【文化祭の様子】
 文化祭は、泉睦会が運営するサークル活動の参加者が、個人または集団で作成した150点を超える作品群(ちぎり絵・書道・編み物・工芸・絵画・写真など)の展示を中心に、片手でできる編み物の実演コーナー等が設置されていました。地域住民の皆様に、当事者が片手や非利き手で懸命に取り組んでいることを理解し、より興味深く鑑賞してもらいたいという意図から、すべての作品は、作成風景の写真や本人のコメントと共に掲示される工夫が凝らされていました。また特筆すべきこととして、文化祭の企画、展示準備、当日の受付・ご案内等の業務すべては、泉睦会の脳卒中当事者がそれぞれの役割担っており、正に「当事者主体」の文化祭として運営されていました。

【当事者会と作業療法士の連携の可能性】
脳卒中者友の会・泉睦会 石川会長は、「専門職はもっと当事者を使うべき。健常者に片手でもできると教えられるより、当事者が片手で編み物をする、左手で字を書く姿を見た方が、『あの方にできるのなら自分も』と思えるでしょう。教えるのは当事者同士の方がよい場合もあります。」と自身のお考えを話されていました。このことは、当事者は「支援される立場」のみでなく、「支援者」としても地域で活躍できる可能性を教示しています。今回の取材を通して、地域支援を行うチームの一員として「当事者や当事者団体」を位置づけ、専門職と連携し合える関係性を確立することが今後必要だという共通認識が両者に芽生えました。まずは、自らの地域における「顔の見える関係」作りが必要だとも会長は強調されていました。

【泉睦会の活動から学ぶべきこと】
 全国の脳卒中者友の会は、メンバーの高齢化や再発、介護保険サービスの拡充等によって新規加入者が減少し、多くの会において存続自体が困難となりつつある中、泉睦会は設立から24年間、一貫して「自分たちで」という強い意識の下、活動を続けています。時代の流れの中、医療・介護保険制度や治療方法・体制の違いはあるにせよ、当事者の声を聴くことや、泉睦会のような当事者の会のノウハウを知ることは、地域リハビリテーションの一端を担う者として重要な学びとなります。百聞は一見にしかず。興味を持たれた皆さま、是非一度「泉睦会」の活動を訪れてみてはいかがでしょうか。

(文責:地域リハビリテーション部 笹森・河村)

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