日本障害者協議会(JD)より情報提供

日本障害者協議会(JD)から、障害者権利条約の日本審査についての配信記事(共同通信)につきまして情報提供がありました。

中日新聞配信記事(824日)

https://www.chunichi.co.jp/article/532105

信濃毎日新聞(824日)

信濃毎日新聞① 信濃毎日新聞②

 

 

以下は記事の詳細

20220823

障害者政策、改善勧告へ 
 教育、精神医療遅れに懸念  国連、初の日本審査終了 

 【ジュネーブ共同】日本が締結している障害者権利条約を巡り、国連がスイス・
ジュネーブで23日、日本政府に対する2日間の審査を終えた。障害児を他の子ども
と分ける特別支援教育や、精神科医療の強制入院など、国際的に遅れが見られる分野
に懸念が示された。改善すべき点について9月中旬までに勧告が出される見通し。
 日本への審査は2014年の同条約締結後、初めてで、障害者の間では政策の見直
しに期待が高まる。ただ勧告に拘束力はなく、政府がどこまで尊重するか対応が問わ
れそうだ。
 審査は、18人から成る国連の障害者権利委員会と政府の代表団が対面で質疑応答
して実施。
 同条約は教育に関し「他の者との平等を基礎として、自己の生活する地域社会で障
害者を包容した初等・中等教育を受けられること」と定めており、権利委の委員から
は、特別支援学校・学級に通う子どもが増えている日本の状況を疑問視する声が相次
いだ。
 政府側は「特別支援と普通の学校どちらにするかは本人と保護者の意思を最大限、
尊重している。中学以上では特別支援を選ぶ保護者が多い」などと説明した。

 精神科の強制入院は他の先進国に比べ緩い条件で広く行われており、「廃止に向け
た取り組みのペースが遅い」などの指摘があった。政府側は「厚生労働省の有識者検
討会が改善に向けた報告書を6月にまとめており、法改正を準備している」と答え
た。
 16年に起きた相模原市の障害者施設殺傷事件についても、複数の委員が言及。事
件後もなお施設入所者が多く、地域生活への移行が進まない理由をただした。
 このほか、障害のある女性は複合的な差別を受けやすい点を挙げ、政府の一層の取
り組みを促す意見が多く出た。旧優生保護法による強制不妊の被害者に対する支援を
強化するよう求める声もあった。

障害者権利条約 障害者の権利を守り、差別を禁止するために国が取り組むべきこと
を定めた条約。「私たち抜きに私たちのことを決めないで」を合言葉に障害者が参加
して作り、2006年に国連総会で採択、08年に発効した。外務省によると、今年
6月現在、185カ国・地域が締結している。日本は障害者差別解消法の制定など法
整備をした上で、14年に締結した。締約国は2年以内に国内の政策を障害者権利委
員会に報告。その後、権利委が定期的に審査、勧告する。(共同)

高まる期待、実現には壁 
 政府、冷めた見方も 

 障害者権利条約を巡る日本政府への審査が終わり、障害者の間では、国連からの勧
告による政策の見直しに期待が高まる。ただ教育現場の人手不足や医療団体の反発な
ど、実現には壁が立ちはだかる。政府内からは国連側の指摘に冷めた見方も上がっ
た。
 ▽異例の傍聴団
 「精神科の強制入院が増えている理由を政府は調べているのか」「今後もこの遅い
ペースで取り組むのか」
 スイス・ジュネーブの国連欧州本部で約900人が入る大会議室。23日まで2日
間行われた日本の審査では、国連の障害者権利委員会の委員から政府に厳しい意見が
たびたび上がった。
 会議室後方では、日本から現地入りした障害者や家族らが審査を見守った。脳性ま
ひで車いすに座る人、耳が聞こえず手話通訳を介して理解する人。他国に比べ異例の
規模となった約100人という傍聴団の多さが関心の高さを物語っていた。
 ▽「でたらめ」
 そのうち青木弘美(あおき・ひろみ)さん(51)と次女で高次脳機能障害のある
中2のサラさん(14)は、文部科学省の答弁が現実とあまりに違うことに納得いか
なかった。
 文科省は権利委に対し「特別支援学校と普通学校のどちらに通うかは本人と保護者
の意見を最大限、尊重している」と答えた。だが、サラさんが小学生の時、弘美さん
は地元の教育委員会に何度掛け合っても、特別支援学校から普通学校への編入を断ら
れた。
 「他の子と会話が合わず孤立する」「授業が分からなくても教える人はいない」。
さまざまな理由を並べられた。中学では何とか普通学校に入学できたが、今も教師か
ら心ない発言がある。
 障害者団体から「政府答弁は、でたらめだ」との声が上がる一方、政府側からは
「権利委は団体の意見をうのみにしている」との不満も漏れた。
 ▽厳しい勧告も
 日本では特別支援学校に通う人が増え続けており、21年度は10年前の約1・2
倍。小中学校の特別支援学級でも約2・1倍に増えている。
 背景には発達障害の早期発見が進んだことや、保護者の意向などもあるが、行政か
ら特別支援教育を勧められたり、普通学校で十分な支援が受けられなかったりするこ
とも大きい。
 学校側からすると、人手不足などで負担が増す一方という事情がある。文科省の担
当者は国連からの勧告について「内容が分からないので、何とも言えない」と話し
た。
 強制入院や身体拘束の多さに懸念が示された精神科医療を巡っては、改革の必要性
が長年叫ばれながら、社会の偏見や病院団体の反発などから、地域医療への転換が実
現していない。
 現地で審査を傍聴した立命館大生存学研究所の長瀬修(ながせ・おさむ)教授(障
害学)は「勧告は厳しい内容も予想されるが、大切なのは、そこからどう対応するか
だ。政府は内容を直視し、政策に反映させてほしい」と話した。(ジュネーブ共同=
味園愛美)

2022
0824

障害者ら達成感や憤り 
 国連の日本政府審査終え 

 【ジュネーブ共同】障害者権利条約を巡り、スイス・ジュネーブで23日まで行わ
れた国連による日本政府への審査では、障害者や家族ら約100人が現地入りし、国
連の委員と意見交換したり審査を傍聴したりした。「委員と直接話したことで、より
深く日本の課題を理解してもらえた」と達成感の一方、「政府の答弁は現状を正確に
伝えていなかった」と憤りの声も上がった。
 同条約に関する日本の審査は初めて。国連の障害者権利委員会が2日間、日本政府
代表団と対面で実施した。審査の合間には、障害者らが委員にチラシを配り、通訳を
介して課題を訴える場面もあった。
 佐賀市の福田純子(ふくだ・じゅんこ)さん(53)は息子の創大(そうだい)さ
ん(20)と訪れた。創大さんには重度の難聴があるが、小学校から大学まで普通学
校に通う。小学校教員の純子さんは「権利委の委員の話を聞いて、障害児を他の子ど
もと分ける日本の特別支援教育は差別なんだと改めて感じた。この経験を同僚や生徒
たちに還元したい」と意気込んだ。
 障害者の全国団体「DPI日本会議」副議長の尾上浩二(おのうえ・こうじ)さん
(62)=大阪市=は脳性まひで車いすを使う。自身が過ごした養護学校(現・特別
支援学校)や入所施設でのつらい経験を基に、課題を委員に訴えた。
 政府は審査の中で「特別支援学校と普通学校どちらに通うかは本人と保護者の意思
を最大限、尊重している」と答えたが、尾上さんは「実態とはほど遠く、虚偽に近い
答弁だ」とあきれ気味に話した。
 権利委は9月中旬までに改善点を政府に勧告する見通し。日本視覚障害者団体連合
の田中伸明(たなか・のぶあき)弁護士(55)=名古屋市=は「多くの団体が協力
して権利委に思いを伝えたことで結束が固まった。今後、政府に勧告の実現を働きか
ける上で強みになる」と力を込めた。

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