テーマが決まりました。さあ、いよいよ研究です。でも、ちょっと待って下さい。
実際に研究を始めるには、先行研究についての文献を十分に読み、そして研究方法をどうするのかを考え、統計は何を用いるのかを考えて、研究計画書を作成しなければなりません。
今回は文献検索についてのお話です。
先行研究ですでに示されていることを学会で発表することはできません。しかし、先行研究で言われていることを十分に理解していれば、同じ介入でも対象者が違ったり、介入期間が違ったりすることで、改めて発表する意味があります。文献を読み、今回自分たちが何を学べるのかを考え、明らかにしましょう。
説明
STEP 1 インターネット上の文献データベースを知ろう!
1. PubMed
アメリカのNCBIが運営している世界の主要医学系雑誌に掲載された文献のデータベース。すべて無料で検索することが可能。
2. 医中誌
医学中央会雑誌刊行会が作成している国内の医学文献データベース。一部、オンラインジャーナルへのリンクが表示される。有料契約が必要。
3. メディカルオンライン
株式会社メテオが運営する日本の学会誌、学術専門雑誌の文献検索、文献全文提供を行う。会員制の有料サイト。
4. CiNii
日本の学術刊行物、大学研究紀要、国立国会図書館の雑誌記事索引データベースなど、学術論文情報を検索の対象とする論文データベース、サービス。一部を除き、無料で利用できる。
5. NDL-OPAC
国立国会図書館が運営するオンライン蔵書目録。登録利用者(無料)になると、図書や雑誌の特定ページについて著作権の許す範囲で郵送複写サービス(有料)を受けることができる。
*そのほかにもいくつかの文献検索サイトがありますが、所属する病院・施設が契約しているサイトを利用する、病院・施設の図書室が行っている相互貸借を利用するなど、自分のおかれている環境の中で最も有効な文献入手方法を探ってみてください。
STEP 2 幅広く情報を入手する
自分の研究テーマに関連する領域の論文を蓄積して、概略をつかむ。
STEP 3 研究テーマに関する検索をさらに深め、絞り込む
先行研究に関する総説、原著論文を探す。STEP2において蓄積した論文の引用文献における著者に関する検索を行う。
STEP 4 研究発表、論文執筆に必要な文献を選定する
1. 研究の背景に関する文献検索
原著論文、原著論文を引用した最新の総説を集めて、先行研究を要約できるようにする
2. 方法のセクションに関する文献
以前に使用されたことのある測定法や質問票を用いる場合は、それらの原著論文を引用する
3. 考察に関する参考文献
結果を説明する研究、同じ結果を示した研究、異なる結果を示した研究を引用する
国内の文献にとどまらず,海外の文献も積極的に読むことをお勧めします.最初はたいへんですが,読み重ねることで,次第に慣れていきます.海外の文献を読むことにより,国内では知られていない新しい情報を得ることができます。
次回からは研究法や統計の手法について、かなちゃんと作ゾーさんのお話がすすみます。
引用文献
1.下坂充 文献を探す方法:理学療法27巻6号 788-803
Story: 森下史子(済生会横浜市東部病院)
イラスト: OTナガミネ http://otoba.ame-zaiku.com
同じカテゴリーの記事:マンガでわかる はじめての学会発表
- 第1話 決意編「私,学会発表がしたい!」 - 2015/6/4
- 第3話 研究編「研究デザインって何?」 - 2015/6/4
- 第4話 研究編「統計って難しい・・」 - 2015/6/4
- 第5話 研究編「計画書はすっごく大切!」 - 2015/6/4
- 第6話 研究編「データを収集しよう!」 - 2015/6/4
- 第7話 抄録編「抄録の作り方」 - 2015/6/4
- 第8話 発表編「それぞれの発表」 - 2015/6/4