研究デザインも決まり、いよいよデータを集めていきます。でも、その前にしっかりと研究計画をしないと、せっかく集めたデータが使えず、無駄になってしまいます。まずは、自分が集めるべきデータが何で、そのデータの種類は何なのかということを知っておく必要があります。そして、どのような統計学的分析を行うことにするのか、今のうちに勉強をしておきましょう。
説明
研究計画書を作ることは、その後の研究、データ解析にとても重要です。研究計画書がきちんとできていないと、自分が何をやりたかったのか、何を解析するのか、わからなくなってしまいます。ただ闇雲にデータを集めるだけでは、いざ統計をかけるという時に、必要なデータがなかったり、かたっぱしから結果が出そうな統計をかけたり・・・ということになりかねません。研究計画書に必要な項目例とその概要について説明します。
I. 論文タイトル
読者もしくは学会参加者が興味を持つよう、わかりやすく、魅力的なタイトルを選択しましょう。
II. 背景
なぜその研究が必要になったのかをわかりやすく説明します。過去の研究を要約し、批評し、研究することにいたった理由と、そのテーマについての概要を説明します。
III. 目的
研究の目的を簡潔に記載します。
IV. 対象
研究の対象者についての取り込み基準(どの施設、どの診断名の者かなど)、除外基準(研究の対象から除外する基準)、何名を対象とする予定か、具体的に記載します。
V. 方法
研究デザインの概要/ データ(変数)/統計学的手法 用いるデータの種類を考慮して、統計を選択します。何が独立変数で、何が従属変数なのかなど、わかりやすく記載します。また、機器などを用いる場合は機器の種類を、実験を行う場合は実験の手順や予備研究について記載しておきます。
VI. 予測される結果
研究から導かれると予測できる結果を記載しておきます。
VII. 倫理的配慮
ヘルシンキ宣言に従い、対象者の同意を得ます。病院、施設に倫理委員会があれば、委員会の規定に従います。
VIII. 参考文献
背景で用いた文献を列挙しておきましょう。また研究テーマに関連した文献は、リストとして挙げておくと、考察する際にすぐに役立てることができます。
IX. スケジュールもしくは発表学会
抄録の締め切り、発表学会の日程などを記載しておきます。
研究計画書の記入例
カナちゃんと作ゾー先輩の研究計画書をご紹介します。
・カナちゃんの研究計画書
・作ゾー先輩の研究計画書
さあ、あとはデータを集めて研究を始めるだけです!
参考文献
1)千住秀明:研究計画の立て方.理学療法28巻2号,2011
2)宮本真明:研究のすすめ 臨床での私の取り組み-今日からはじめる臨床研究.理学療法技術と研究41:16-20,2013
3)(社)日本作業療法士協会 作業療法マニュアル34.作業療法研究法マニュアル
ナビゲーター/Story原作: 森下史子
イラスト: OTナガミネ http://otoba.ame-zaiku.com
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