研究をしていくことの意義は、作業療法という職業の発展のため、日々の自らの作業療法効果を確かめるため、自己研鑽のため・・・・とさまざまです。
大学の先生たちのように立派な研究はまだできないけれど、臨床で働くOTだからこそできる研究もあるはず。
多くの可能性を秘めているのに、研究・学会発表という次の一歩へなかなか踏み出せずにいるみなさんに。
ついに初めての学会発表を果たす、カナちゃんのお話です。
説明
テーマの決め方はさまざまですが,はじめて学会発表をしたいと思っている方たちのために,テーマを決めるための手順の一例を紹介します。
STEP1 さまざまな疑問を書き出す
作業療法士が研究していくべきだと感じる領域や、 普段臨床で疑問に思うことなどを思い浮かぶだけどんどん列挙する。
STEP2 最も関心があるもの,領域を選ぶ
研究をしていくのは、簡単なことではありません。 動機づはとても重要です。そのため、自分が最も関心のある領域を選択します。
STEP3 より具体的なものにして列挙する
STEP4 列挙したものの中から,研究可能なテーマを選択し,研究可能な形に疑問を形成する
ここが難しいと思いますが、下の項目に従って考えてみてください。 すべて具体的に考えられれば、テーマはこれで決まりです!壮大で複雑なものとなりがちなテーマを研究可能な形に形成してみましょう。
1. 研究対象の患者さんの母集団は何で、どんな問題を持つ人たちか
・自分の施設で集められる対象者か
・何人集めるか
対象患者が自分の施設に年間でおよそ何名いるのかを調べてみましょう(単一事例の治療効果を調べるための研究方法もあります)
2. どんな介入をするのか
・介入方法は何か (介入ではなく、ある影響要因に関する調査をする/評価指標をつくるなどの研究発表も可能です)
3. 何と比較するか
・対照群との比較/介入前後での比較など
4. 何で効果を示すか
・どの指標・評価方法を使って、介入効果を示す事にするのか
5. いつ効果があると判断するか
・介入期間や回数はどのくらいか
項目は、うめられましたか?これでもう研究テーマは決まりです。 テーマを決める際、研究法と統計の知識があると、研究のイメージがつきやすくなり、 研究計画書を作成しやすくなります。また、実際に研究を始める前に、先行研究についての文献を十分に読んでおく必要があります。先行研究ですでに示されていることを学会で発表することはできません。しかし、先行研究で言われていることを十分に理解していれば、同じ介入でも対象者が違ったり、介入期間が違ったりすることで、改めて発表する意味が十分にあることになります。研究法や統計、文献検索の方法については第2話以降で説明していきます。とにかく前へ進んでみましょう!
研究テーマの決め方について、もっとしっかり学びたい方は以下の文献を参考にしてください
参考文献
1)大峰三郎、緒方甫:テーマの発見.PTジャーナル29:45-51,1995
2)古名丈人:研究テーマの決め方.理学療法27:1343-1439,2010
Story: 森下史子(済生会横浜市東部病院)
イラスト: OTナガミネ http://otoba.ame-zaiku.com
同じカテゴリーの記事:マンガでわかる はじめての学会発表
- 第2話 研究編「文献はどうやって探すの?」 - 2015/6/4
- 第3話 研究編「研究デザインって何?」 - 2015/6/4
- 第4話 研究編「統計って難しい・・」 - 2015/6/4
- 第5話 研究編「計画書はすっごく大切!」 - 2015/6/4
- 第6話 研究編「データを収集しよう!」 - 2015/6/4
- 第7話 抄録編「抄録の作り方」 - 2015/6/4
- 第8話 発表編「それぞれの発表」 - 2015/6/4