149号:かわさき七和会「麻生ピオニー」

当事者団体の活動を知る

 地域リハビリテーション部では「関係職種・機関・組織との連携や神奈川県民との連携により地域リハビリテーションの普及・推進を図る」目的として、障がい者(当事者)団体の活動の広報をおこなってきました。
 昨年度お伝えすることができなかった内容を掲載させていただきます。

かわさき七和会「麻生ピオニー」

取材日:平成22年10月7日(木)10時~15時30分
場所:百合丘老人いこいの家(麻生区 百合丘2-8-2)
この日の活動:カラオケ・会食・手芸(ビーズや編み物)など
一日見学と会長・澤淑子さんや参加されている皆さんにお話を伺ってきました。

かわさき七和会について

 各々活動していた自主グループ(主に脳血管障害後遺症の方、機能訓練B型のリハビリ教室を卒業された方など)があり、その中から組織化したものが『かわさき七和会』です(平成9年8月に設立)。川崎市各区に支部があり、麻生区は『麻生ピオニー』が活動しています。会全体では、七和だよりの発行、バス旅行(年1回)・新年会やスポーツ交流会を開催しています。また、会の中での活動に留まらず、同じ境遇の方々の心理的サポートとして、麻生リハビリ総合病院で2カ月に1回ピアカウンセリングも行っています。

麻生ピオニーの活動

 脳血管障がいの方や虚弱高齢者の地域リハビリとして、主に月4回(カラオケ・会食・手芸の日、書道の日、ハンドベル・手話の日、絵手紙の日)老人いこいの家や保健福祉センターで活動しています。それ以外に区や社会福祉協議会などのイベントにも積極的に参加し、各活動で製作した作品の展示やハンドベルや手話を披露しています。
 また、さわやか会(*)との共催で『ふれあいコンサート』を開催しており、自ら社会に呼びかける活動を展開しています。当会は生き甲斐づくりとして自分たちで目標をもち、計画立案し活動すること、その意義を大事にしてボランティアや家族も支援をしています。
 会長の澤さんは、24年前に脳血管障害で片麻痺を呈するが、当時はリハビリテーションを十分に受けられなかったそうです。自分で情報を集めてリハビリ教室などに参加するものの望む活動がなく、それならば「自分たちで!」と奮起して、会の設立に至ったそうです。少人数から始まり、今では当事者・ボランティア・家族合わせて37人が参加しています。活動費用は、会費や参加費の他に市の助成を受けていますが、その予算を削減されるかもしれないという厳しい状況に現在立たされています。

活動から学ぶこと

 ピアカウンセリングがきっかけで会の活動に参加されているAさんは、当初は突然の病気と麻痺への戸惑いや不安が強く、暗く、硬い表情で日々を過ごしていました。しかし、会のバス旅行に出掛けた帰りには、それまでとは違う明るい笑顔が見られるようになったそうです。当事者同士ゆえに理解し合えること、同じ境遇の人が「できる」姿を見て「自分も!」と希望や自信を持ち奮起されることもあるのです。私たちOTはその方が奮起できるようなサポートができているでしょうか?
 また、Bさんは「デイサービスにも行っているけど、こっちも楽しいから来るの。」と話され、自分で活動に通い、次のスケジュールを確認し、自分で一日の行動を決めて参加されています。私達OTは、病院から介護保険へエスカレーター式に移行するという支援だけに留まっていないでしょうか?各地域にどんな活動があるか知っているでしょうか?その都度振り返り、その方に必要な情報提供をすることも、地域リハビリテーションの一翼を担うOTの役割です。
麻生ピオニーの定期活動は平日のため、活動見学の機会は少ないかもしれませんが、OTの皆さんも、身近な地域の当事者の声を聴くこと、その方々の活動を知ることから始めてみてはいかがでしょう。

(*)『さわやか会』について
 澤さんは、身障者リハビリ『さわやか会』(月1回の第三日曜日の午前中に手話と体操)も21年前に立ち上げて活動されています。ボランティアでPTが体操を指導しています。こちらも是非見学してみてください。

かわさき福祉情報サイト『ふくみみ』
ホーム>団体検索>高齢者に関する団体 または 身体障害に関する団体>リハビリ>かわさき七和会「麻生ピオニー」 ・ 身障者リハビリさわやか会 

(文責:地域リハビリテーション部 笹森 田中)

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