第8話 発表編 「それぞれの発表」

〜スライドの作り方と発表の準備〜


01D いよいよ学会発表を迎えました.作ゾー先輩は国際学会,カナちゃんは神奈川県作業療法学会,セラピーさんは日本作業療法学会へ.それぞれの発表がは始まります.さぁ,果たしてみんなの発表はどうなったのでしょうか?


 

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「無事にかなちゃんのはじめての発表が終わりました。これまでは、聞くだけだった学会。初めて、発表する立場となり、学会参加の意味合いも大きく変わったようです。」

 


説明

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 いよいよ、このシリーズも最終話となりました。発表の準備は進んでいますか?スライド、原稿を準備して、本番に備えてください。


  Ⅰ.スライドの準備

スライド作りに決まりはありません。自由に作成してよいのですが、聴衆の興味をひき、聴衆がわかりやすいスライドにするためには、いくつかポイントがあります。スライド作りに重要な事項として記載されていたものを以下にまとめたので、参考にしてください。

効果的なスライドづくりのための基本事項

1枚のスライドは、タイトルを除いて5~6行、多くても8行までとする
図、写真、絵を豊富に用いる
フォントは出来る限り大きくする (24ポイント以上、小さくても20ポイント以上にする)
色は2色~4色程度

 

カナちゃんのスライド

サクゾー先輩のスライド

注)シングルケーススタディのグラフについて
ベース期と介入期のグラフがつながっていますが、正しくはつなげずに作成します

作ゾーさんのスライド

カナちゃんのスライド

 *画像をクリックするとスライドが表示されます

Ⅱ.原稿および発表の準備

発表の際、原稿を読むことに対する賛否はありますが、初めての発表です。「聴衆がわかりやすい」ということが大切です。言いたいことをまとめた原稿を用意し、それをしっかり伝えることはよいことだと思います。たとえ本番では読みあげないとしても、まずは原稿を準備してみるとよいでしょう。

原稿の長さは、300~400字/分程度と言われます。早口で多くの情報を話しても、聞き手には伝わりにくいものです。できるだけ簡潔に、聞きやすいスピードで話せるように準備をしてください。

発表の際、あまりにも緊張しすぎて、スライドを進めるのを忘れたり、進めたつもりが進んでいなかったりして、スライドと読み上げている原稿の内容がずれてしまっている演者を時折見かけます。スライドは、ページを替えるたびに必ず目で確認するようにしてください。

発表の際の基本事項

①発表原稿を読む場合でも、スライドをポイントしながら、聴衆をしっかり見る

②早口にならないように、しっかり間をとる

Ⅲ.質疑応答

発表後の質疑応答に備えて、発表時間内には口述できなかった結果の詳細や、今回の研究では検討することに至らなかった点などをあらかじめ整理し、準備をしておきましょう。また、職場で予演会を行うなどして、質問をしてもらうとよいでしょう。

本番の質疑応答の際には、いただいた質問に対して真摯に答えます。質問をいただくことによって、今後の自分の研究課題が新たに見つかるかもしれません。質問の答えが、「検討していないからわからない」のか、「調査したがわからない」のか、など、「わからない」という返答につても次の研究につながるよう、自分の中で整理して答えるようにしましょう。


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最後に

口述発表・・・・、私はとても苦手です。そんな私に共感してくれる方たちは、発表までに、原稿をもとに練習をしましょう。心の支えになります。可能であれば職場で予演会を行います。発表原稿を読まなくてもよいくらいに頭に入っていればよいですが、初めての学会発表ですから、準備した原稿を持って壇上に上がってよいと思います。

忙しい臨床の中で、研究をするということは、本当にたいへんなことです。でも研究をすることで、自分が日々臨床で行っていることが正しいのか、検討することができます。他の施設の皆さんにそれを知ってもらうこともできます。そして、臨床家の研究やその研究に対する質疑応答が積み重なることによって、新たな作業療法の治療手技がみつかるかもしれません。臨床家だからこそ抱える疑問や、漠然と「よいのではないか」と感じている治療。そこには、まだ誰も知らない病態やよい治療方法が潜んでいるかもしれません。われわれ臨床の作業療法士が研究発表をする機会が増えていくとよいですね。

それでは、みなさんの発表を楽しみにしています。1年間、「はじめての学会発表」を読んでいただいてありがとうございました。


参考文献

1)佐藤雅昭:日常診療のズバリ基本講座 はじめての学会発表.レジデントノートVol.15 No.16

2)神山 浩:学会発表 口演スライドの準備 小児科診療 4号 2013

 


ナビゲーター/Story原作: 森下史子
イラスト: OTナガミネ http://otoba.ame-zaiku.com