平成23年8月現在、私は大阪にあるJICA大阪という研修施設で、青年海外協力隊の派遣前訓練を受けている。
派遣前訓練とは、任国へ行く直前にJICAボランティアに義務づけられている65日間の訓練であり、第一の目的は派遣国の言語を覚えるということ。その他にも、派遣される立場としてのルールの理解、任国の理解や任地での活動に役立つ実践的な練習など、様々な訓練要素を含んでいる。
毎朝7時のラジオ体操から始まり、夕方までびっちり組まれている語学と国際協力に関わる講座をこなし、さらに宿題やテストなどもある。
訓練所では様々な職種や技術を持った人が集まって共同生活をしている。小学校教諭、PCインストラクター、服飾デザインといった多様な職種の約120名のボランティアが参加している。
知り合ったばかりの頃は、「あなたの職種は何?」という話になるのだが、そう聞かれて作業療法士だということを伝えても、「ふーん…。それで、作業療法士って何をするの?」という返答も少なくない。「作業って、土木?」という質問もある始末。作業療法について口頭で説明はするものの、なかなかピンとこない人も多いようだった。OTは医療・福祉畑以外の人にはまだまだ馴染みが薄いのを実感した。
そんな中、栄養士とOTの協力隊員が合同で「栄養管理と腰痛への対処」について講座を開催することになった。訓練中には、協力隊員自らが企画し、講師となって、講座を開催するというプログラムがある。その内の一つを担当することになったのだ。
今後、任地においてOTに馴染みのない人々に、OTへの理解を深めてもらうためには、自分の体で体験して理解してもらうことも一つの手である。今回のことは、その練習ができる非常によい機会。また、OTのことを他の協力隊員に知ってもらうきっかけにもなる。
講座はまだ先なので、今回その様子を伝えられないのは残念だが、現在少しずつ準備を進めている。OTのことを、まずは身近な人に、少しでも伝えたい。OTっておもしろい!そして、もうちょっと知りたい!って思ってもらえるような講座にしたいなぁ。
青年海外協力隊 平成23年度1次隊 堤由貴子
大学卒業後一旦就職するも、退職。その後、作業療法士資格を取得し、都内の病院へ3年間勤務する。平成22年、長年の夢であった青年海外協力隊の試験を受験し、合格。平成23年3月退職し、7月から約2カ月の訓練を経て、9月より協力隊員としてモンゴルに赴任予定。
青年海外協力隊とは
JICAボランティア事業は日本政府のODA予算により、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する事業です。開発途上国からの要請に基づき、それに見合った技術・知識・経験を持ち、「開発途上国の人々のために生かしたい」と望む方を募集し、選考、訓練を経て派遣します。青年海外協力隊は40年以上という長い歴史を持ち、これまでにのべ3万4000人を超える方々が参加しています。(JICAホームページより)