知的障がい者支援施設の秦野精華園が運営しているパン工房「ラポールセイカ」は今年の5月に開店1周年を迎えました。ラポールセイカは秦野精華園が就労継続支援A型として、安定した就労ステップへの第1歩として始まりました。今では地域の皆さんにも認知されつつあり、地域の一員として様々な活動をしています。今回はラポールセイカができたそのいきさつ、取り組みについて紹介していきます。
美味しいパンを作っています
秦野精華園敷地内にあるパン工房では同園で雇用契約を結んだ8名がパン作りに取り組んでいました。オーブン等設備は本格的なもので衛生面も厳格に保たれています。勤務時間は月~金曜の9時~4時で、そのうち5.5時間となっています。私が訪れた時はパンの成形作業をしていました。皆さん、慣れた手つきで手際よく作業をしていました。今では販売個数も増え、雇用体系を維持していますが、そのための取り組みが過去にあったのです。
東海大学の学生さんとの連携
話は2007年の7月にさかのぼります。秦野精華園から程近い東海大学へ1通のメールを出しました。大学生の専門知識を活かした商品開発、販売促進についての協働企画を提案したのです。それ以後、共同特別プロジェクトとして様々な取り組みが行われました。販路の拡大、モニタリング、ブランドイメージの確立など徐々に実を結んでいったそうです。ラポールセイカのロゴマークは学生さんと会議を重ねて完成しました。「パンのふっくらとしたイメージの穂を形に」「手作りパンのおいしさが伝わるように」「今後の発展を印象づける元気な印象に」を基に作成したそうです。
「ラポール」という言葉は私達OTにとって馴染みのある言葉だと思います。まさに学生さんとの「信頼関係」が今も協業して活動している象徴的な言葉であると思います。
地域に根ざした活動をするために
さらに移動販売車を使用することで、販売の機会を増やしました。今では利用者さんと学生さんが一緒に近所の保育園や、東海大学の構内、駅前や量販店の正面玄関にて定期的に販売しています。工学部の学生さんを中心としてオーブンにタイマーを導入し、大量生産にも対応することができました。また、タウン誌や新聞にも活動内容が掲載され、地域での活動認識が高まっているようです。
障がい者の就労支援を行う一方、独立採算を目指して収益、給料を賄うことは非常に大変なことだと思います。しかし、ラポールセイカでは東海大学の学生さんと協業することで一定の成果を出し、地域へ積極的にアピールすることで売り上げが少しづつ伸びています。
今回、取材を通して障がいを持った方が地域の方々と協業することでノーマライゼーションが確立していくものと感じました。OTとして業務に従事する上で、直接的に地域と関わることは多くないと思いますが、何かのきっかけで地域に目を向けること、そして少しでも動いてみることがノーマライゼーションにつながるのではないかと思いました。最後に私も手作りパンを買って帰りました。本当に美味しいですよ。
取材:千葉
パン工房「ラポールセイカ」
秦野市南矢名3-2-1(秦野精華園内)
(小田急小田原線東海大学前駅より徒歩10分)
電話:0463-77-8811(代表)
URL:http://www.kyoudoukai.jp/hadano/info.html
open:10:00 close:17:00 (日・祝日 休業)