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145号:パン工房「ラポールセイカ」

 知的障がい者支援施設の秦野精華園が運営しているパン工房「ラポールセイカ」は今年の5月に開店1周年を迎えました。ラポールセイカは秦野精華園が就労継続支援A型として、安定した就労ステップへの第1歩として始まりました。今では地域の皆さんにも認知されつつあり、地域の一員として様々な活動をしています。今回はラポールセイカができたそのいきさつ、取り組みについて紹介していきます。

美味しいパンを作っています
 秦野精華園敷地内にあるパン工房では同園で雇用契約を結んだ8名がパン作りに取り組んでいました。オーブン等設備は本格的なもので衛生面も厳格に保たれています。勤務時間は月~金曜の9時~4時で、そのうち5.5時間となっています。私が訪れた時はパンの成形作業をしていました。皆さん、慣れた手つきで手際よく作業をしていました。今では販売個数も増え、雇用体系を維持していますが、そのための取り組みが過去にあったのです。

東海大学の学生さんとの連携
 話は2007年の7月にさかのぼります。秦野精華園から程近い東海大学へ1通のメールを出しました。大学生の専門知識を活かした商品開発、販売促進についての協働企画を提案したのです。それ以後、共同特別プロジェクトとして様々な取り組みが行われました。販路の拡大、モニタリング、ブランドイメージの確立など徐々に実を結んでいったそうです。ラポールセイカのロゴマークは学生さんと会議を重ねて完成しました。「パンのふっくらとしたイメージの穂を形に」「手作りパンのおいしさが伝わるように」「今後の発展を印象づける元気な印象に」を基に作成したそうです。
 「ラポール」という言葉は私達OTにとって馴染みのある言葉だと思います。まさに学生さんとの「信頼関係」が今も協業して活動している象徴的な言葉であると思います。

地域に根ざした活動をするために
 さらに移動販売車を使用することで、販売の機会を増やしました。今では利用者さんと学生さんが一緒に近所の保育園や、東海大学の構内、駅前や量販店の正面玄関にて定期的に販売しています。工学部の学生さんを中心としてオーブンにタイマーを導入し、大量生産にも対応することができました。また、タウン誌や新聞にも活動内容が掲載され、地域での活動認識が高まっているようです。
障がい者の就労支援を行う一方、独立採算を目指して収益、給料を賄うことは非常に大変なことだと思います。しかし、ラポールセイカでは東海大学の学生さんと協業することで一定の成果を出し、地域へ積極的にアピールすることで売り上げが少しづつ伸びています。
 今回、取材を通して障がいを持った方が地域の方々と協業することでノーマライゼーションが確立していくものと感じました。OTとして業務に従事する上で、直接的に地域と関わることは多くないと思いますが、何かのきっかけで地域に目を向けること、そして少しでも動いてみることがノーマライゼーションにつながるのではないかと思いました。最後に私も手作りパンを買って帰りました。本当に美味しいですよ。

取材:千葉

パン工房「ラポールセイカ」
秦野市南矢名3-2-1(秦野精華園内)
(小田急小田原線東海大学前駅より徒歩10分)
電話:0463-77-8811(代表)
URL:http://www.kyoudoukai.jp/hadano/info.html
open:10:00  close:17:00 (日・祝日 休業)

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145号:初めての経験

初めての経験 梅雨が明ける頃、長女の楽しみにしていた保育園の夏祭りがありました。昨年は「ママ~あそこへ行ってみようよ」と私の手を引っ張って模擬店のある所へ行っていた長女。今年は「ちょっと行ってくるね」と友達と手を繋いで人ごみの中へといってしまうことも多く、捜すのに一苦労でした(笑)。お気に入りの浴衣を着て友達と踊ったり、とそんな姿を見て親も十分に楽しんだ夏祭りでした。

 夏祭りが終わると、以前から予定されていた長女の両側口蓋扁桃の摘出手術日が迫っていました。24時間親の付き添いが必要なため、夜は主人で日中は私と決めました。当の本人は「あと何回寝たら入院なの」?と遠足気分で入院当日を迎えました。手術当日は、主治医から「麻酔がかかるまでお母さんは手術室にいましょう(まだ小さい為、暴れてしまう可能性もあるとのことで)」と言われました。

 しかし長女は手術台の上でも全く動じることなく、先生の言う通りに待っていた姿に私もびっくりしました。マスクをして麻酔がかかると、自然と目を閉じてしまう長女を見ていたら、痛々しくてとても切なかったです。でも手術も無事に終わりホットしていたのもつかの間、その夜は「ママじゃなきゃ嫌だ~」と出ない声を振り絞って泣き続け、主人と付き添いを一晩交代したりと思いがけないことも多々ありました。

初めての経験 少し座っていられるようになると、看護師の方から「つばめの巣があるけど見に行ってみようか」、「保育園では?・・・」など声かけをたくさんしていただきました。入院から6日目となれば、長女の体調も良くなり本領を発揮!!看護師の方が部屋に来ると「あのね」と話しかけたり、「ママ暇だからお散歩しようよ」と同じ場所を行き来し、私の方がヘトヘトでした(笑)。

 OTという仕事をしてると、患者さん・そのご家族と接する機会が多くなります。今回は逆の立場というか、通常ではあまり経験しない環境下で生活をしました。いろいろな方から内容を練って声をかけてもらえると、正直親子共々うれしいものです。『仕事上の役割』ではあるかもしれませんが、相手の優しさは感じとれるものです。また職員と患者さんは時間の流れ(質)が少し違うことも感じました。長女が退院して自宅療養を経てから私も仕事再開です。目には見えない相手の気持ち、を感じとっていくことができればと思います。

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