台風も通り過ぎ、連日の猛暑の中休みを思わせる、過ごしすい陽気の7月21日~22日の2日間、今年で10年目を迎えるヨコハマ・ヒューマン&テクノランド(愛称:ヨッテク)が横浜みなとみらい、パシフィコ横浜にて開催されました。「つなぐゾーン」「たのしむゾーン」「くらすゾーン」に分かれ、60を越える企業や団体が出展し、企業プレゼンテーションやデモンストレーション、簡単クッキングクラスなどのミニレクチャーも充実。更に3月11日の東北地方太平洋沖地震を受け、ヨコハマに暮らす障碍児者やその家族が、震災への備えをどうしておけばよいのか、をテーマに「災害に強い福祉のひとづくり・ものづくり」を企画。障碍別役立ち情報掲示板「愛(i)ボード」や軽自動車キャンピングカー、バイオトイレカー、停電時の福祉用具の対応など紹介されていました。
数多くあるブースの中で、今回取り上げたいのは、「ユニバーサルファッション(以下UD)」についてです。まずは、アソシエCHACOの栗田佐穂子さんにお話を伺ってきました。「ユニバーサルファッションと聞くと、まだまだ『介護服』、つまり『介助者にとって被介助者に着せやすい服』といったイメージが強いようです。しかしUDが目指すところは、『障碍者自身が着やすい』という点に留まらず、『誰が着ても着やすい、どんな人でも着られる』という点だと思います。例えばこのネクタイ、当初は片麻痺の方でも簡単に付けられる様工夫しましたが、いまでは忙しい営業マンにも好評で、またそういう方のニーズを反映して、素材も100%シルクからポリエステルなど安価な生地を使い、価格を抑える努力をしました。更に当社では手持ちの服を持ち込んでいただいても、お好きな生地を選んでいただいても構いません。UD服の発展はいかにコストを抑えられるかにあると思います。工場で定型を作り、そこからはオプションで…という形を作り上げたいです。どんな形の洋服でも、工夫次第で着られます。着られない服はありません!!」
また、UD服ブースにいた女性にもインタビューを試みました。
更に、ファッションについてどう思われるか、を質問しました。
「病気になる前は、おしゃれが好きでした。けれど今は諦めモードですね・・・。若い子なんかは選択肢が多いほうがいいと思うけど、今は手持ちの服を着たり、大量生産の服が多いでしょうか。外出するのにも人の手を借りなきゃならないし、車の手配だなんだってやっていると、億劫になりますね。決まった場所以外に出歩く機会も減ったから、『新しい洋服がほしい』っていう気分にもなりません」
「先日、病気になって初めて買い物に出掛けましたが、今までとの目線の違いにびっくりしました。ちょっと手にとってみたい品物に車椅子の高さからなかなか手が届かないのですね。子供目線なのね。けれど、この座っても背中が見えないタイプのズボンは欲しい!と思いました。裁縫が得意な友人の中には、年取ると市販のズボンでは股上が浅くて、どうしても背中が見えやすくなるからって、自分で背中部分に当て布をしている人もいます。こういう服がもっと手近に手に入ればいいのに・・・ 」 ファッション感覚は千差万別ですが、服のおしゃれ性と機能性の両方が兼ね備わってくることで、UD服は単に「介護服」に留まらず、今後より一層多くの人の心を掴んでゆくように思いました。
最後に耳寄り情報!飾りボタンとしても使える、後ろがマグネット式になっているボタンなどの便利グッズは、ユザワヤ本店や新宿オカダヤ本店、アソシエCHACOで手に入るようです。みなさんご自身の服にも是非取り付けて、使い勝手を試してみてください。
(文責 菊地)
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