(^o^)/皆さんお気づきのとおり、今年度よりこの県士会ニュース紙面がリニューアルしております。これは広報部の心機一転!もありますが、印刷所の変更も一因です。新しい印刷所はなんと常勤のOTもいる授産施設であり、精神障害者の職業訓練として機能している施設です。今回はこの「港風舎」を取材してきました。ここで伺うことができた就労支援のOTの関わりと、訓練 として行うこのニュースの印刷作業工程についてお伝えいたします!!
印刷所は「横浜市総合保健医療センター」にある授産施設です。
横浜市総合保健医療センター(以下、保健医療センター)は、横浜市全域の精神障害者・高齢者の保健・福祉を担う中核施設です。
その中でも、ニュースの作成を行っている授産施設(港風舎)は「地域精神保健部」に属し、就労訓練の機関として、主にPSW・MSW・CP・OTが支援者として配属になっています。
また、この「地域精神保健部」は、精神障害者の医療・生活・就労、3つの面を総合的に支援できる体制になっています。
就労支援に関わるOTとは?! ~馬場OTRにインタビュー~
現在、保健医療センターには、デイケア・授産施設・老人保健施設に各1名のOTが常勤配属になっています。この授産施設の担当の馬場OTRに伺いました。
就労支援に関わるOTとして、この授産施設では「6ヶ月就労訓練」「短期就労訓練」の利用者に関わっているそうです。ここでは「どんなかたち(就労形態)でも個人のできる能力に見合った社会参加=就労すること」を目標に、印刷作業を通して支援しているとのことでした。
「人と作業・機械を評価し、各人のできるところを見つけていくことからはじめます。」と馬場氏。
短い評価期間の中で勤務時間や作業内容・環境設定を考慮し社会参加へ支援する、これぞOT!!といった役割の深さと可能性を垣間見ました。
ニュースができるまで ~作業工程と就労課題に密着!~
港風舎の印刷作業内容は主に2つに分類されます。1つははがきや名刺印刷などの軽作業で、利用者個人の計画性・段取りを評価・訓練する作業です。もう一つは冊子などの大きい印刷物をチームで担当して取り組む作業です。この県士会ニュースは後者にあたり、広報部では約2週間かけて 1350部のニュースの印刷・製本を行っていただいております。
以下は広報部からの依頼・発注(馬場さんとのメールでのデータでのやりとり)の後に行なわれる、印刷・製本工程の紹介です!!
1.原稿作成
データを印刷後、文章や段落にずれがないように印刷した紙面を用紙に貼り付けて紙面を作っていきます。この工程を「面付け」と呼びます。また各ページにページ番号を貼り付ける「ノンブル」といわれる作業もここで行います。
非常に細かく集中力の要る作業で、落ち着いて丁寧に取り組むことが要求されます。
2.版づくり
「エルプどり」という印刷の元になる版を作る作業を経て、版の汚れを丁寧に修正する作業があります。写真のような大きな機械類の操作も利用者が担当するそうです。
馬場氏は「ゆがみの調整を行うのが大変です。数ミリずれてもその後の作業に大きく影響するので、機械操作は精密さが要求されます。利用者にとっては、ずれを修正するためにどのように機械を操作すればよいかが理解しにくい。」と説明されていました。
最期に字を浮き立たせるような薬を原稿に塗布する「エッチング」という工程を経て、やっと版が完成し、印刷準備が完了します。ここまでに10回以上の調整や試し刷りを行います。
3.印刷と仕分け
版の設定が完成したら、1350部の県士会ニュースの印刷を開始します。印刷された紙面を自動で折って重ねる機械にセットします。ここでも折り目の微調整が必要です。この過程で、スタッフが印刷された紙を2回断裁し紙の大きさを整えています。
印刷・製本が終了したら最期に検品を行い作業は完了です。このようにして県士会ニュースが完成します。
計4台の機械を各2~3名の利用者で担当しますが、OTは作業工程の難易度に合わせて利用者の配置や課題を決めているそうです。県士会ニュースのように多色刷りになると、それぞれの版のインクが乾くまでに数日かかり、作業工程を全て完了するまでに、2週間の期限ぎりぎりまで頑張っていただいているそうです。
取材を終えて・・・
この就労訓練を経て約6割の方が期間内に就労されるそうです。もちろん勤務体制に個人差はありますが、目標へ向けた就労訓練は利用者にとても有意義な期間となっていました。また授産施設は「社会参加」に関わることのできる機関であり、OTの専門性を活かせる可能性を感じました。
文責:渡辺・八木橋・酒井
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