牛木彩子プログラム企画委員長の言葉@県士会ニュース160号

第14回神奈川県作業療法学会 特別講演とシンポジウムのご案内

学会テーマ  つなげよう過去から未来へー作業療法の挑戦

神奈川県の作業療法は、東日本のリハビリテーションを牽引してきました。
地域リハビリテーションのシステムをいち早く整えたのも神奈川県です。
40年以上リハビリテーション=社会復帰の目標のにむかってアプローチしてきた足跡を糧にして、患者や利用者の生活再建を支援するという基本を共有し、職域が広がっってきた作業療法について、今後の方向性を考える企画としました。

21世紀を迎え、日本は社会経済の推移、医学の進歩により国民生活が大きく変化し、それに伴いリハビリテーション医療においても疾病構造やその予後に多様性が増してきています。
一方で身体障害分野では疾患別診療報酬体制により、対象者との関わりが大きく変化しています。
長年臨床の場で働いてきた作業療法士はその時々の社会状況を睨み、対象者の様々なニーズに応えたいと日々苦闘してきました。
このような経験豊富な先輩諸氏にこれまでのリハビリテーション医療の中で、作業療法士として大事にしてきたこと、そして時代に合わせて変化させてきたことについてお話いただき、これからの作業療法への示唆をお願いいしたいと思っております。

発達領域では、全国に先駆けて特別支援学校に作業療法士を配置しています。日本の小児分野のリハビリテーションにおいても、作業療法士の資格制度が出来てすぐに小児施設に作業療法士を配置しました。
医療の進歩により、呼吸器を装着し自宅で生活する重症児が増え、広汎性発達障害をもち地域の学校に通う子どもたちが増え、小児の障害像は多様化し、作業療法の提供できる場も広がっています。
施設療育から地域での療育への転換、小児分野における、対象児の疾病、障害の変化を、神奈川県の療育体制の変化とともに理解し、これまで提供してきた作業療法、これから新しく学ぶべきこと、広がる職域について考え、情報交換のできる場になればとおもいます。

精神科領域では、精神保健医療福祉の改革や心神喪失者等医療観察法の施行に伴い、入院医療主体から地域生活中心へと移行し、病院や福祉の現場にも変化がみられ始めてます。
対象者に対する処遇も様々な歴史的事情を背景に大きく変化し、作業療法の現場は長期入院者中心の治療のみならず、早期退院支援や地域生活支援などが、これまで以上に強く求められるようになりました。
また、作業療法の対象となる病態像も現代の社会的背景を描写するかのように複雑、多様化してきています。
こうした転換期の中で、作業療法、そして作業療法士には、今何が求められ、どのような役割を果たしたらいいのか、各講師の先生方にお話をうかがいます。

それぞれの、分野で、神奈川県で長く仕事をしておられ、転換期を経験してこられた先生方にお話をうかがいます。
神奈川県を牽引してきた病院の先生(医師)、ベテランの作業療法士の先生方に直接お話を聞く機会です。質問や意見交換の時間も十分ありますので、臨床での技術的な事柄含め、さまざまな情報交換ができる場として是非、足を運んでいただければと思います。

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