牛木プログラム企画委員長の言葉@県士会ニュース158号

今回は演題発表と並ぶ学会の目玉、各種プログラムを企画する
牛木彩子プログラム企画委員長の言葉を県士会ニュース158号からご紹介いたします。
時々、テーマとプログラム内容が一致していないように感じる学会もありますが
小田原で開催される第14回神奈川県作業療法学会のプログラム内容は見事にテーマを表現していると思います!
このような内容には、なかなかふだんの職場でも、いろいろな研修会に出かけても
なかなか触れることはできない、まさしく本学会ならではの内容だと思います。

それでは、牛木プログラム企画委員長の言葉をぜひじっくりとご覧くださいm(_ _)m

 

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「作業療法の成果 〜第14回県士会学会の企画について〜」

第14回県士会学会の企画プログラムは、臨床経験1~10年未満の若い会員の増加をうけ、ベテラン(パイオニア)の臨床を直接垣間見るような話を聞いてみようという企画になっています。
9月末、 国際機器展を見に行き、そこでOTの先輩たちがした仕事の歴史と成果について考えたことをこの場に書かせていただきます。

国際福祉機器展を初めて訪れてから20年たつ。
最初の勤務先では毎日のように自助具を作り、先輩 OTが患者の初回面接の翌日には、あっという間にカフつきスプーンなど自助具を作り、患者の食事を自立させてしまうことに目を丸くした。
訓練用具までも手作りで、ボール盤、電動糸のこ。毎日誰かが その前にいた。PTも時々杖を切りにOT室を訪れた。
現在、そのころOTが作っていた自助具や訓練用具は製品化され、予算さえ許せば買うことができる。
写真は今や製品化されている上肢用の手回しサイク ルである。
古い自転車をひっくり返し、木枠を組み立てて取り付けてある(ここ数年で2台作り足した とのこと)。

二つ目の勤務先で、私は、在宅を訪問し福祉用具や住宅改修のアドバイスをした。
国際福祉機器展に初めて行ったのはこのころである。
在宅で使いやすい機器を探すのに必死だった。
シャワー チェアなど今でこそコンパクトなサイズのものが主流だが、そのころは浴室に入れると立つスペースも無くなるほどの大きなものばかり。
訪問に行くと、「病院で勧められて買ったけど、これは大きすぎて使えない」と埃をかぶっていることもあった。
小サイズで安定性のあるシャワーチェアを探して会場を動き回った。
スロープときたら、重くてとても介助者が出し入れできるものではなく、70歳のAさんの奥さんはこれを持ち上げられるだろうかなどと考 えながら、会場中のスロープを持ち上げて歩いた。
既成品がなければ、地元の大工さんが頼りだった。
洗い場から浴槽の上まで渡すバスボードとベンチの兼ねたものが欲しいなとご家族と話していたその数日後には、近所の大工さんが端材で組み立てていた。
風呂場のすのこも檜で大工さんに作ってもらった。

いまや全部商品化されている。
そのころ私が猛烈に 欲しかったADLのシュミレーションセットも商品化された。
大げさにいえば皆OTが考えていたのであ る。OTが作っていた自助具や福祉用具が商品化改 良されているのは、その使用経験のフィードバックが道具を利用する人とOTでされてきたからである。
それこそ、OTの成果である。

障害は治るのに時間 がかかる。
治らないものもある。
「治らない」けれども生活が出来るようにOTが介入する。
その介入は患者にとってはわかり難い。
なぜなら患者は「治してほしい」と思って、リハビリテーション室に来室するからである。
その気持ちと、どう向き合って生活を組み立てていく介入をしてきたのか、成果を上げてきた先輩OTに聞いてみたい。
そして、今年の福祉機器展は、ハイテク機器が多く上に描いたようなADL関連で目新しいものはあまりない。
自助具類も少なかった。でもまだ、出来ること(OTが提案 できること)があるのではないか?と思うのである。

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