地域で活躍するOT編 地域とつながっていくこと〜OTとして、介護支援専門員として〜

 

福利部企画!「スポットライト~OTの生き方~」
介護支援専門員 編

 前回に引き続き「地域で活躍するOT」の第2弾は、地域包括支援センターで管理者兼主任介護支援専門員をしている方にスポットを当てます。現在のフィールドで働くに至るまでの想いや実践内容、やりがい等を綴ってくれました。

○ 地域とつながっていくこと〜OTとして、介護支援専門員として〜

地域包括支援センター湘南鎌倉
宮谷清美さん

地域で活躍するOT編 地域とつながっていくこと〜OTとして、介護支援専門員として〜 私は現在、鎌倉市の地域包括支援センターで管理者兼主任介護支援専門員として従事しております。OTとしては免許取得後、他県の総合病院に勤務し、身体障害全般のリハビリテーションを経験するとともに、地域に積極的に出向き、予防教室の開催やデイケアや訪問リハビリ、また脳卒中やパーキンソンの友の会の係りなども経験いたしました。地域医療や地域リハがまだ十分に確立されていない状況の中、地域とふれ合う機会をたくさん頂いたことが、今の私の原点になっているのだと思います。

 1995年に神奈川県の現在の病院に移ってからは、訪問リハビリを中心に行っていました。この頃はまだ措置の時代でしたので、複数のサービスが入っていても、共に支援していく一体感は少なかったと思います。そこに違和感があり、何かが足りないと感じていた頃に介護保険がスタートし、マネジメントの中心的な役割を担う介護支援専門員が誕生したのです。私は多職種がチームとなりご利用者、ご家族の望む生活の実現に向けてマネジメントを行う介護支援専門員の仕事をやってみたいと思い、2000年に同法人の居宅介護支援事業所で働くようになりました。

 介護支援専門員として多くのケースと関わらせていただく中でご利用者、ご家族の気持ちに寄り添いながら、住み慣れた地域でその方がどのような生活を望まれるのか、主人公はご利用者であり、多職種皆で支えていく大切さを学びました。それと同時に認知症や老老介護、虐待、経済的困窮など制度だけは十分に解決できない困難なケースを地域でどのようにサポートしていくのか、私の中での新たな課題が出てきました。

 そのような中、2005年に介護保険法改正によって地域包括支援センターが誕生したのです。私は主任介護支援専門員として同法人の地域包括支援センターの立ち上げから携わり、現在に至っております。地域で高齢者を支えるシステムの中核機関として、まずは地域を知り、顔の見える関係づくりを大切にしながら、日々さまざまな活動をしております。2015年の改正では、地域包括ケアシステム構築の手段の一つとして、地域ケア会議が介護保険法で制度的に位置づけられました。地域包括支援センターが主体となり警察、消防、医療、介護従事者、行政、家族、自治町内会長、民生委員等が集まり、個別のケースについて援助方針を検討していく場が地域ケア会議となります。現在この会議を積極的に開催し積み重ねているところです。私が担当しているある地域では、一人暮らしの認知症の方の地域ケア会議を開催したことで、地域住民の認知症への理解が少しずつ深まり、そして認知症を地域の問題として捉えてくださるようになっています。このことは、認知症になっても地域で暮らしていく限界点を高めることにもつながっていくのです。地域によって温度差もありますが、地域の課題を皆で共有できたときは、この仕事をしていて一番やりがいを感じるときです。

 2025年問題はすぐそこにきています。

 高齢者の生活を地域で支えていくために、地域のさまざまな社会資源がつながっていく多職種連携体制をつくっていく必要があります。今リハビリテーション専門職に求められていることとして、「単に高齢者の運動機能や栄養状態といった心身機能の改善だけではなく、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を促し、それによって一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組みを支援して、QOLの向上を目指す」こととなっています。新しい介護予防事業への参画、地域ケア会議や認知症初期集中支援チームへの参画などOTの役割が広がり、今地域では皆さまの力を必要としています。地域包括ケアシステムはみんなでつくり上げていくものです。フィールドは違いますが、私は皆さまと地域をつなぐ架け橋となっていきたいと思っております。

あとがき

 今回は、地域包括支援センターでさまざまな社会資源と連携体制を取りながら、高齢者の生活を地域で支えていくために奮闘している方にスポットを当てました。いかがだったでしょうか。今後も特色ある取り組みをしているOTさんを特集していきたいと思います。ご期待ください!

 皆さまからのご感想やご意見を募集しております。県士会福利部まで是非お寄せください。

文責:福利部 松岡太一

 

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