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134号:就労支援施設特集~その1「町田リス園」

 今回から隔月で、就労支援を行っている施設を訪れます。今回は町田リス園にお伺いしました。

<町田リス園について>

 1988年創立の通所の授産施設で、今年でちょうど20周年を迎えます。スタッフは常勤6名+非常勤、通所者は年齢は20歳から42歳までの14名で、通所の条件は知的障害者で障害者手帳を持っている方です。養護学校卒業後通所される方が多いそうですが、一般就労したが環境が合わず、イメージ_1リス園で働くことになった方もいらっしゃるそうです。
 運営は、市からの補助金で食事やスタッフの給料を支払い、通所者にはリス園の利益から工賃が支払われています。工賃を差し引くと、園としての利益は殆どないそうです。
 作業内容は、園外ではチケット受付、園内では種の袋詰め、袋つくりなどです。退園後に一般企業に就職できる人はほとんどいないのが現状だそうです。最も長く通所されている方は18年勤務で現在も通所中です。

<リス園の園長をなさっている入江繁子さんにお話を伺いました>

イメージ_2 入江さん(写真の左側)は学生時代、保育科と福祉科を勉強されたあと、重度心身障害者施設に就職。その後、児童館、保育園、学童保育、障害者施設、介護老人ホームに勤務されました。施設内勤務のみでなく、訪問もされたことがあるそうです。現在リス園の園長4年目です。
 これまで子供や知的障害者と接する多くの経験がある園長入江さん。訪問では大勢の保護者の相談にものってきたとのことです。その中でも、やはり子供たちの表情や発育の仕方は千差万別であったと話されていました。

<そこで…子どもたちや知的障害児にとって、どのような環境が良いとおもわれますか?>

 今までの自分の経験の中から、環境・家族関係などいくつかの共通するのもがあると感じました。

【良い表情を持った子供のポイント3つ!!】
1、祖父、祖母と同居していること
 現在は核家族が進み、祖父母と接する機会が少なくなってきました。祖父母と同居していると協力も得やすくなり、両親の精神的安定にも繋がります。
2、父親が家にいること
 大半の父親は仕事をしているので、一日中というのは難しいのですが、平日の夜や休みの日など、子供と過ごす時間がある家庭はやはり違います。
3、母親が子供にたくさん語りかけていること
 子供と一番多く接しているのは母親です。その間、どのような言葉でも話しでも歌でも何でも構わないので、語りかけることが子供の成長に不可欠です。

<では、私たち作業療法士が知的障害者と接する時のポイントは?>

 それは、やはり「一人ひとりを人として、尊重し、認めてあげること」です。
 以前、ある知的障害を持った子が学校に通っていた頃、いじめにあっていました。
 するとその子が「ぶたれて、悪口言われて、バカにされても、僕のことを構ってくれるなら、いじめられてた方がいい」と私に言ったのです。
 最近、世間では「すぐキレる」というニュースをよく耳にしますが、そういった人たちも、結局は誰かに関心を持ってもらいたかっただけなのではないだろうかと思います。知的障害を持っていようが、子供だろうが、大人だろうが、人が一番恐れていることは、誰からも関心をもたれないことだと思います。
 そしてもう一つ大事なことは、「褒めてあげること」。特に知的障害者の子供たちは、厳しく育てられていることが多いのが現状です。もちろん、いけないことをした際に叱ることは大事ですが、その分褒めてあげることも大切です。例えば、褒められた=認められたと感じると、その子は気持ち的に余裕ができ、他者にも優しくすることができるようになります。そして、目標を持ってもらうことで、個々の能力アップにもつながり、更にリス園全体の作業効率にもつながるのです。すると、自然とリス園で働いている人たち同士の仲間意識が強くなり相乗効果となるのです。仲間という存在は、お互いに関心を持ち合い、いざというときは助け合う、本当に大切なものなのです。

<過去の経験から感じた、高齢者・知的障害者と接する際の共通点・違いは?>

 リス園は授産施設であり、工賃を払い、生活のための教育を行なっている場所です。そのため、叱るときはきちんとり叱ります。しかし、高齢者の場合、叱るのではなく話を聞くことが大切であると思います。自尊心の高い人や認知症の方など様々ですが、私たちの人生の先輩であることには変わりありません。高齢者にとって必要なのは、教育ではなく、人生を楽しんでもらうことではないだろうかと考えます。その反面、年齢、性別は様々でも共通して大事なことは、やはり「相手の話をきちんと聞き、関心を持つこと」、「一人ひとりを人として、尊重し、認めてあげること」そして「褒めてあげること」だと私は思うのです。

<ここで最後に突然!!通所者の方にインタビュー>
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斎尾 洋さん(左写真) 通所歴:18年
Q1、リス園で働いてみての感想は?:
すごく楽しいです!!
Q2、みなさんに一言:
ぜひ、リス園に遊びに来てください。

<取材をしてみて…>

 私は病院勤務のため、知的障害を持った人と接することがほとんどなく、また授産施設の現状についても無知に等しかったです。園長さんから聞いた、知的障害をもった子のいじめに対する返答が、イメージ_3意外で驚いたと同時に、とても切なくもなりました。しかし、そういった経験をしながらも、リス園に通所されている方々は皆、素直で良い方ばかりでした。
 そして一番印象が強く、とても心に響いたことは、「人と接する時の大切なこと」の話です。私は、その言葉のおかげで、人との接し方が少し変わった気がします。
 園長さんの言葉の意味をもう一度考えたとき、患者さん、職場、家族、友達など自分の周りにいる人たちの大切さを改めて実感し、また自分の対応を見直す良いきっかけになりました。

文責:佐藤、渡辺

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134号:エールを送って送られて

イメージ_134 先日、とある図書館で細身でおとなしそうなママさんが泣きわめく男の子(おそらく2歳)を担ぎ、強制退場状態で立ち去る姿を見ました。子供は「電車の本~!!(涙)」と叫び、ママさんは「電車の本はないの!!(怒)」と叫ぶ・・・。
 息子の元気っぷりは以前よりひよこ通信で書いていましたが、その光景はまさに去年の私そのもので、そんな状況ながらその場に一緒いた主人とほほえましくながめていました。
 『ママさん頑張って!!いつまでもそんな事が続く訳ではないから!!今を乗り越えれば大分らくになるからね~。』と心の中でエールを送る私。先輩から後輩へのエールみたいに、同じような苦しみを経験したからこそ理解できる事ってあります。

 そう言えば私はママでもありOTでもあります。今までも、いちOTとして後輩にエールを送ってきました。
 今は小さい職場故に主任を任され、OTの先輩に愚痴をもらしたり助言をもらう機会がありません。一人で踏ん張らなきゃいけないと思い寂しさを感じることもしばしば・・・。育児と仕事の両面で未熟さを感じる日々です。
 でも、きっと沢山の先輩方から多くの無言のエールをもらっているんですね。きっと同じような事で悩んだ先輩も沢山いて、『頑張って!!いつまでもそんな事が続く訳ではないから!!今を乗り越えれば大分らくになるからね~。』って応援してくれているんだ!って思いました。そう思うと、あまり肩肘張らずにいってみよう!という気にもなります。

 最近は息子のおしゃべりもいっちょまえになってきて、「いい?わかった?いい子だね」などと私に向かって大人の口まねをします。「何を言ってるんだ」と思いながらもほめられると嬉しく思ってしまう単純な私・・・。そんな小さなエールも私の日々の力になっています(^0^)。

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