152号:第5回 モンゴルでの活動開始

執筆者近景 やっと、モンゴルに来ました!1年半前の春に受験し、その後合格してからもモンゴルへの道は思いの外遠かった。しかし、今、モンゴルの地を踏んでいる。やっとスタートに立てた気持ちでいる。

 モンゴルでは国立外傷病院というところで主に活動することになっている。しかし、現在は病院での活動はまだ始まっておらず、モンゴルに「慣れる」時期として日々を過ごしている。
 通常、着任後1カ月ほどは、午前中に現地の語学学校に通い、午後は各協力隊員の所属する省庁や配属先に表敬訪問したり、その国でJICAが関わっているプロジェクトの視察などを行う。

 先日は、「ゲル地区生活環境改善計画」事業(日本政府の資金供与)というプロジェクトを視察した。「ゲル」とは、テントのようなモンゴル流住居のことである。
 近年、モンゴルでは深刻な雪害や移住の自由化により、草原での牧畜生活を捨てて首都に移住する人々が急増し、首都ウランバートルの人口は急激に増加したという。
 これらの移住者は、政府にあてがわれた都市周辺地域の敷地を柵で囲い、そこにゲルや簡易な家を建てて住んでおり、このような地域は「ゲル地区」とよばれている。ウランバートルでは中心部の高層住宅群を取り囲むように、この「ゲル地区」が広がっている。ゲル地区では、上下水、道路、学校などの基礎インフラの未整備が最も深刻な問題となっており、JICAは、このゲル地区のインフラやコミュニティーの整備を国連関連団体(UN Habitat)と協力して行っている。

152号:第5回 モンゴルでの活動開始

ゲル地区の道:以前は未舗装で、階段もなかった。子供でもその道をタンクに入れた水を引いて登らなければならなかった。

 例えば、写真の斜面にある道は以前は十分舗装されておらず、階段も無かった。特に冬場は滑り易いため住民のけがが多く、骨折することもあったという。モンゴルでは骨折の整復不良やリハビリが不十分であることから後遺症が残りやすいという。
 骨折、外傷の治療技術を向上させることも重要であり、今回の私の活動ではその点が求められている。しかし、予防として基本的な環境を整備することも欠かせない。様々な活動が関連しあって成果を高めていくことができる。

 活動を円滑にするためにも、少しずつモンゴルのことを知っていくことが大切だ。モンゴルにはたくさんの迷信や慣習が残っている。
 最近、他の協力隊員から聞いた慣習をひとつ。「目にゴミが入ってしまった人が、目を指で大きく開いて、何とも言えない声を出していた。どうやら目から息を出そうとしていたようだった。成人でもそうするのかはわからないが、少なくとも15歳くらいの子はやっていた」とのこと。かわいいなぁと、思わずほほえんでしまうエピソードだった。


青年海外協力隊 平成23年度1次隊 堤由貴子

 大学卒業後一旦就職するも、退職。その後、作業療法士資格を取得し、都内の病院へ3年間勤務する。平成23年3月退職し、7月から約2カ月の訓練を経て、9月より協力隊員としてモンゴルに赴任。モンゴル国立外傷病院にて活動予定。


青年海外協力隊とは

 JICAボランティア事業は日本政府のODA予算により、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する事業です。開発途上国からの要請に基づき、それに見合った技術・知識・経験を持ち、「開発途上国の人々のために生かしたい」と望む方を募集し、選考、訓練を経て派遣します。青年海外協力隊は40年以上という長い歴史を持ち、これまでにのべ3万4000人を超える方々が参加しています。(JICAホームページより)

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