【中堅】バランスよく 三森夏穂OTR

三森夏穂OTR(汐田ヘルスクリニック)

バランスよく-三森夏穂OTR まだまだ経験の浅い私が、こうしてここでメッセージを送ることにただただ恐縮ですが、せっかくいただいた機会です。少しお付き合いください。

 作業療法士になり10年目になりました。重度認知症デイケアで7年、通所リハビリテーションで3年目を迎えます。地域で生活される高齢者の方々の生活の一助となるよう地域でのなんでも屋作業療法士を目指してきました。
 そうはいっても、1年目から一人職場。不安はありました。でも、良かったことは、「作業療法士して」ということにこだわり過ぎず、他職種の先輩たちに育ててもらう中で、「この患者様に今、デイケアとしてできることはなんだろう」という視点を自分の軸として持つことができたことです。だから、なんでも屋、でも作業療法なんです。

 そんななかで、この地域での展開や認知症の方々に対するアプローチを、確立したものにしたい想いもあり、恩師の助けをお借りし学術として発表する機会を得ることができたり、職場の理解を得て仕事をしながら学術的な勉強をする機会をいただいたりすることができました。この、「地域での経験」と「研究」の機会を得たことで、学生さんの実習でも気をつけていること、それは、技術的なことだけではなく、その対象者自身がどのような方なのか、十分理解を深めてもらうことです。さらに「アートとサイエンス」をバランスよく持ち合わせることを伝えています。

 院外では、神奈川県で作業療法士になって、恩師からお誘いいただいた県士会。
 最初はチョット大変かな、と思っていました。でも、先輩や違う分野での仲間ができ視野が広がりました。知識と同じ様に、仲間や人脈も財産だと、諸先輩をみていて実感します。…そうでした。啓蒙活動も大きな役目。2014年には横浜でWFOTが開催されますね。2010年のWFOT inチリ、2011年のAPOTC in タイに参加し、日本への関心の高さを実感しました。

 そして、作業療法士も「一社会人」です。自分自身が健康であり、時間を上手に使い生活を楽しむことも大切だと感じています。それは、私たちが少しゆとりのある状態あることが、患者さんの変化への気付きや楽しんでいただけるプログラムの構築へつながるからだと少ない経験の中で学んだからです。

 私たち作業療法士は、作業療法士である前に、人であり、性別があり年齢があり、社会人でもあります。更に、作業療法士としても、「臨床」「研究」「後輩の育成」と役目は一つではないです。そこに大切なのはライフワークや専門家としてのバランスだと思います。この調整も1つの技術の気もしますし、私自身、これからも課題です。
 皆さんも、どうぞよりよいアプローチにつながると思って、その「バランス」がどんなものか少し自分を覗いて見てください。そうすると、患者様の生活を横断的にだけでなく、縦断的にみる視点につながるかもしれません。

同じカテゴリーの記事:作業療法を語る

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wpm/essay/post/128