言葉に頼りすぎない

イメージ_朝顔認知症のある方にトランスファーを促そうとしたある職員。
「右手で向こう側の肘かけをつかんでそれから腰を上げてゆっくり体を回転させてから椅子に座りましょう」
…認知症のある方はにこにこして座っているだけです。

この職員は、「わかりやすい説明=丁寧に言葉を使って説明すること」と考えたのだと思います。

ところが、認知症のある方は、言語理解力や言語表現力が低下してしまうことがよくあるのです。
ですので、懇切丁寧な言葉での説明は、かえって理解されにくいのです。
それでは、いったいどうしたらいいのか…というと
認知症のある方は、視覚的理解力はある程度保たれていることが多いので、そこを活用すればいいのです。

先の方の場合には
「Bさん、こっち」と言いながら、トランスファー先の椅子の座面を手でポンポンと叩き示したところ、すっと立ち上がって椅子に移ることができたのです。

認知症のある方に接する場合には
その方の言語理解力や言語表現力、視覚的理解力について
適切に把握しておくことが望まれます。
その方の障害を補い、能力を活用する…そのことを念頭において説明をすればいいのだと思います。

「説明してもわかってもらえない」
という声を聞くことも多々ありますが
言葉だけで説明しようとするから悪循環に陥ってしまうのではないでしょうか。

どのように伝えたら、相手が理解しやすいのか
どのように対応したら、相手が目的とする行為をともに行えるのか
…を考えることが大切。
そのためには、まず、認知症のある方の能力と障害をきちんと把握しておくことが必要だと考えています。

 

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