評価の前提:能力を損なわない介助

認知症のある方の食事介助に関して
現状は非常に心もとないものがあります。

食事介助に携わる職員は
美味しく食べていただきたいと願っていると思います。

ところが
知識と技術が伴わないと願いを具現化できない。

今、目の前にいる認知症のある方が
どうやって自らの障害を補いながら能力を発揮して食べているのか
という評価、アセスメントを適切に行いたくても行えない。

なぜならば
嚥下5相にそって評価が適切に行えることの前提要件として
まず、認知症のある方のもっている食べる能力を損なわないということが担保される必要があります。

ところが、現実には、してはいけないスプーン操作・望ましいスプーン操作を
教えてもらっていないがために
不適切なスプーン操作を結果として行ってしまい
その結果として、認知症のある方の能力発揮が損なわれてしまっています。

さらに、嚥下5相にそっての評価が適切に行えていない
(結果として起こっていることなのに、原因として把握されてしまう)
こういったことは日常茶飯事として起こっています。

だから
食べ方の評価全般のことを
ムセの有無のみで、しかも音でのみで判断してしまう
ムセたらトロミをつける
といったパターン化した対応が横行してしまっているのだと感じています。

知識と技術があれば
現状に身もすくむような思いがするのではないでしょうか。

同時に
知識と技術があれば
今すぐにでも目の前の現実を変えることができる可能性に
目を見開かされるような思いを抱くのではないでしょうか。

認知症のある方の食べることに関する評価は
ICFで評価するということの意味を体感できていない人にとって
案外、難しいようです。

でも、現実にはその前段階として
適切な評価ができるための
適切な情報収集ができていないことが圧倒的に多い。
不適切なスプーン操作によって評価の前の情報収集が機能していない場合が多いのです。

だとしたら、まずは適切なスプーン操作によって
認知症のある方の「本来の」食べ方を観られるように
適切な情報収集が行えるように
私たちが適切なスプーン操作を習得することがまず第一歩なのです。 

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