評価→対応:両方向

私がお会いする認知症のある方は
何らかの生活障害とBPSDが積もり重なってきた方です。

私の仕事は
認知症のある方の困りごとが少なくなるように
できればその方の良い面が良い方向性で発揮できるように
援助すること

そのために状態像つまり障害と能力がどのように現れているか確認する
そうするとどう対応したらよいのかは必然的に浮かび上がってくる。

その方の困難がひとつ改善されたことは、
良いことではあるけれど
これで終わりではなくて
入院前に生活障害やBPSDがどんな風に起こってしまったんだろう?
と考えることもしています。

たとえ、今、「よくなって」生活障害やBPSDが目立たなくなったとしても
「障害」そのものがなくなったわけではない。

かつて陥ったことのある状況は
再現されるおそれがあります。

生活障害やBPSDが起こった時に
「つながらないと困るね」「怒りのスイッチがわからない」
といった表現をする人もいるようですが
私は基本そのような抽象的な言葉は使わないようにしています。
というか、自分で自分がよく意味のわからない言葉を使うことに抵抗を感じるからです。

人間だから突発的なことは起こりうるし
人間だからわからないことはありうるし
病状としての変動もありうるし
だからこそ、わかっていることは明確にしておきたいと考えています。

認知症のある方の障害と能力を把握できれば
どのような場面設定であれば困ることが少なくなるか必然的に明確になります。
同じ意味で
どのような場面設定であれば困り果ててしまうのか
そして、困った時にどのように対応しようとするのかおおよそ推測できます。

評価を絞り込めれば込めるほど
両方向に、良くも悪くも、どのような現れ方をするのか明確化できる。

現れ方の方向性を両方向に考える

臨床において、実はとても重要なことだと感じています。 

Permanent link to this article: https://kana-ot.jp/wp/yosshi/3359