臨床あるある(昔とった杵柄は要注意1)

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多かれ少なかれ経験している人は少なくないと思います。

昔とった杵柄
手続き記憶の活用
としてActivityを選択する。
あるいは認知症のある方から「やってみたい」「昔は好きだった」と言われて提供する。

ところが、実際にやってみたら
上手にできない。ほとんどOTRがやっている。表情も険しくなる。怒り出す。。。etc. etc.

認知症の状態が軽い方であれば、こういうことは少ないかもしれませんが
ある程度進行している認知症のある方には要注意なんです。
昔とった杵柄は意味がないというわけでは決してありませんし
病状が進行した認知症のある方はActivityができないというわけでもありません。
(HDS-R0/30点の方でも、いわゆる「意味のある作業」が遂行可能な方もいます。
個人的にはあんまり使いたくない言葉ですけど ^^;)

ただし、「要望を聞く」「やりたいと言ったことをやる」という観点でしか対応できないと
結果として、認知症のある方に逆効果を招きかねません。
(認知症という病態を考えれば当たり前のことなんですが。。。
このことに関しては後日詳述します)

認知症のある方は
一日暮らすだけでも、日々さまざまな困難に遭遇し
失敗体験や喪失体験を重ねていることも少なくありません。

プラスアルファとしてのActivityで
失敗体験や喪失体験の反復・強調体験を
たとえ、結果的にであったとしても、させてしまうことだけはないように
どんなに気をつけても気をつけ過ぎることはないと感じています。

ヒポクラテスが言ったように
「まず、第一に患者を傷つけないこと」

良かれと思ってスタートするのではなくて
悪いことをしないように気をつけながらスタートする

これは私の流儀ですから、別に周囲は関係ないのですけれど
昨今の風潮を眺めていると、ちょっと声高に言いたくなる時もあったりします (^^; 

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